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『壱岐砂浜図鑑』で紹介している砂浜は、全て九州北部の離島である長崎県壱岐市に存在します。ここでは、その壱岐島についての概要を少し紹介します。

地理

壱岐市は長崎県に属していますが、長崎市よりも福岡県・佐賀県と隣接した位置にあります。博多から約67km(高速船で約1時間)、佐賀県北端部の東松浦半島から北北西に約20kmの玄界灘上に位置する九州の離島です。大きさは南北17km/東西15kmで総面積約139k㎡(対馬島の約5分の1程度の大きさ)。標高は、最高の「岳の辻」で213m。海岸線は国定公園に指定されています。(壱岐対馬国定公園:長崎県の壱岐の島と対馬からなる国定公園。主として海岸部の景勝地が対象。陸域面積1万1946ha、海中公園5ヵ所計47.5ha。1968年指定。)周囲には23の属島(有人島4・無人島19)があります。この壱岐諸島と呼ばれる全体が壱岐市です。現在の人口は約2万8千人。

勝本層

勝本層

自然

内陸には長崎県内で最大級の平野「沖積平野」通称『深江田原(ふかえたばる)』と呼ばれる平野があります。河川は、島の南東部を流れる幡鉾川が島内最大長で、全長約9キロメートル程。他は短く1.5~5.5キロメートル程度です。ユニークな地質が多くみられ「勝本層」や「柱状節理」などが有名です。暖流である対馬海流の影響を受け、比較的温暖な気候で雪はめったに降らず、台風の影響もあまりありません。塩分に適応した山桜や、国の天然記念物に指定されている辰ノ島海浜植物群落のハイビャクシンなどの植物が有名。サンゴ礁の生息地としては世界最北端といわれています。

柱状節理

柱状節理

文化

壱岐島は、気象用語となっている「春一番」の発祥の地。天然温泉が湧いていて「湯ノ本温泉」と呼ばれています。1700年もの昔から残る古湯といわれ、現在の泉源数17ヶ所。泉温は69℃。泉質はナトリウム塩化物温泉で、神経痛、リューマチ、婦人病をはじめ皮膚病、火傷、切り傷などにも効果があるとされています。また、壱岐には多くの古墳や遺跡が多く存在します。勝本町のカラカミ遺跡や「沖積平野」通称『深江田原(ふかえたばる)』には、約100ヘクタールにわたって国特別史跡の「原の辻遺跡」があります。弥生時代の環濠集落で、『魏志』倭人伝に記された「一支国(いきこく)」の王都に特定された遺跡です。大陸との交易と交流の拠点であったとして、現在も研究が進められています。小さな島ながら歴史のある神社が多く存在し、その数は式内社24座、小さな祠をあわせると1000社に及ぶといわれています。学術的研究対象として特出されながら、神々が宿る島として地元の方々の生活・文化に今も息づいています。

原の辻遺跡

原の辻遺跡と一支国博物館

産業

壱岐は「麦焼酎」発祥の地です。特産品「壱岐焼酎」は世界貿易機関のTRIPS協定に基づく産地表示の保護指定を受けました。壱岐の清らかな水と米と麦を用いて全7つの蔵元が数々の賞を受賞しています。また、ブランド「壱岐牛」は、壱岐島で生まれミネラル豊富な潮風を浴びた牧草と独自の飼料により育った黒毛和牛。最高級のブランドを確立しています。

壱岐牛

壱岐牛

農業では稲作が盛んで、また古代米である赤米の生産も行われています。葉たばこ、メロン、ユズなどの生産量も多く、最近ではアスパラガスも多く出荷されています。また漁業では、剣先イカ漁が盛んで、「壱岐剣」として特産ブランドとなっています。冬場はブリやマグロ漁が有名。マグロは大間と並ぶ産地として知られています。また、真珠養殖なども行われています。うにめしが土産物として販売されている他、島で食べられる「うに丼(ぼっかけめし)」は名物になっています。

壱岐牛

太陽光パネル

交通・通信

壱岐市は離島ながら、交通、通信のインフラ設備が整った島です。アスファルトで綺麗に舗装された道路が驚くほど張り巡らせてあり、バスが多く走っていて、タクシー会社も多くあります。Googleストリートビューを使って島中を歩きまわることも。携帯電話の電波もほとんど網羅されているので、島中の目的地へスマートフォンのナビゲーションを使って迷わず行くことも出来ます。光ケーブルが行き渡っていて、快適なインターネットはもちろんのこと、CS放送局やFM放送局も情報を発信しています。また、太陽光発電、風力発電などの自然エネルギー事業者の施設も増えています。

筒城浜海水浴場

筒城浜海水浴場

そしてなによりも壱岐は、独特の地理的条件によって育まれた豊かな自然に触れることが出来る島です。独特の地質と湧き水、そして海が大変美しい島です。そのため海砂は軽質で白く、きめの揃った細かい粒子で、日本でも最も良質な海砂「壱岐の砂」として各地の人工ビーチの上砂や、そして主に生コンの細骨材用・法面工事・トンネル工事などの砂として珍重されてしまうほど。なんと、長崎県の全採取量の2/3以上をこの壱岐の砂が占めています。

『壱岐砂浜図鑑』で紹介しているのは全て、そんな美しい上質の砂が自然に堆積して出来た天然のビーチの数々です。壱岐市の、地球の財産として。最も重要で貴重な私達みんなの宝物として、少しでも多くの方に知って頂き、共有できたらと思います。

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